ペトロポリス便り
ボランティア活動報告 No.4

2003年 5月、 ペトロポリス 安見 清、 道子



カスカチーニャ分校は5月始めに追加入学を受け入れ、登録生徒者数が223名となった。入学を希望する者は、年齢と最終学歴が合えば全て受け入れているため登録生徒数が多い。この内登録して最初のレベルを決めるテストを受けただけで断念してしまう者が約20%居る。次にレベルが決まり教科書は持っていったが一ヶ月経っても次の教科書に進んでいない者が約45%。残り35%が良く出席をしてテストを受けどんどん次ぎの教科書に進んでいっている連中だ。教科書の進んでいない45%について見ると、半数が1,2回出席しただけで止めてしまっている。残り半数は良く出席して勉強しているが能力が付いていかないのか進めないで居る。ここでの問題は登録者が多いが止めてしまう者も多いということである。登録者全体の50%が簡単に止めてしまっている。
ただし今のところ脱落者を見越しての入学受け入れでこれ以上出席率が良かったら対応しきれないのだが。しかし入学登録しても、直ぐ止めてしまうようでは、こちらの事務手続きが大変だ。本当に勉強を続ける意志のある人にのみ入ってもらいたい。そこで入学を受け付け時に、この教育システムと自習することの大変さ、それでも困難を乗り越え勉強するという意志のある者だけ受け入れると合同説明会で話し、本当に勉強を続けるかと再度受付で確認しているがこの様な結果である。

私が30年前ブラジルに来たころ、人を採用する時は、足首を見よ、太い者は怠け者だから採用するなとブラジル人から教えられた。どうもそうとも言えない。外見で人を判断するのは難しい。こつこつと勉強していく者、すぐに止めてしまう者かは、年齢、性別、子持ちか離婚か独身か、肌の色、美人か不器量か、デブか細身か、更に仕事のあるなし、貧乏か、勉強しますと雄弁に返事するか、ぼさっとして居て意志のほどが分からない者か、最初のレベル決めテストの成績か、この様な尺度では全く判断できない。
よって事前選別の方法が無い。仕方が無い希望者は全て受け入れ、止めてしまったら仕方が無いと考える方が、上手く行く。この様な状態で、第3報で書いた真面目な苦学生にノートを準備したし、更にリオ連盟よりメモ用紙とノートの寄贈を受けたが、これの有効な配布となると頭を痛める。

脱落者の多いのは教科書が難しいのか。我々の使用している教科書は、州の教育局が最近全面的に作り直した物で、まだペトロポリスの本部も使っていない(あきれることに、本部は州政府の予算不足で新しい教科書を買い取る費用が無いためだ。我々のものは、市が我々の計画書に基づき特別枠で購入したもので申請のタイミングが非常に良かったのだ)、成人向けに実生活に直結した教材になっているようだ。しかし内容的に問題もあり、これで自習せよというのも生徒にはかわいそうなところが或る。しかし我々は教育者ではないので教科書の内容、教え方には触れていない。第二の人生は第一の人生の会社生活で習得したニーズをつかみ、計画し、実施し、管理をし、根回し、説得し、等々のノウハウを生かして、既存のものを活用して地域住民に勉強の機会を与えることだとこれに徹している。

ブラジルの先生達は、さっぱり理解しない生徒に何度でも親切に教えている。見習おうと思っているが、受付で生徒を相手にしていると実にいろいろなことを言ってくる。
当日の受付締めきり後、14歳(受付は15歳以上)の子が来て、妊娠してつわりが酷いので今日学校を退学して来た。 これからは自宅に居るので、このシステムで卒業したいとしつこく入学させろと迫られた。また他の女性が、結婚証明書(入学手続きは全て正式書類で扱う)の名前で学生証を作ったら、この部分の名前を外してくれと言う。離婚が成立していないが、あの男は別な女と生活している。この名前は汚らわしいので外してくれと言う。またヨボヨボの年配女性が入学手続きをしたいと現れた。オバアチャンの回りくどい話を良く良く聞いたら本人ではなく42歳の息子が怠け者なので勉強させたいと言う。母親はどこでも強い。第一の人生で得たノウハウの範囲ではこれらの問題の上手い解決方法が出てこない。
また今日は赤ん坊の面倒をみてくれる人が居なかったと赤ん坊を抱えて試験する女性がいるかと思うと、雨が降ったからと休む男性が居る。ここでは一般に女性の方が勉強をする。女性は実に生活力が旺盛で強い。だから離婚が多くなるのかもしれない。

公立の中学校、高等学校の教室の荒廃は酷いものだと嘆く人が居るが、ここでは幸い何も問題が起きていない。生徒は秩序を守って教室内は静かなものだ。先に述べた良く勉強をしている35%の生徒のみに注目してみると、州教育局の定める教育レベルのテストでなかなか難しい内容だし、学習環境が充分でないところでどんどんテストを受け良く進んでいるとすごいパワーに感心させられている。始まって実質二ヶ月だが既に科目別修了者が三人出た。あと少しと言うのが何人も居る。立派なものだ。

以上
ボランティア活動報告のトップページへ戻る